日本地球化学会年会要旨集
2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
セッションID: 1C15 07-04
会議情報
安定同位体研究の最先端:地球化学への実験的・計算科学的アプローチ
原子核の大きさと形がもたらす同位体分別-隕石中の同位体異常との相関について-
*藤井 俊行
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
同位体どうしの化学的な性質はわずかながら異なるため化学分配平衡には同位体効果(化学同位体効果)が発現する。同位体は質量が異なるので、同じ分子でも同位体が異なることによって分子振動のエネルギーが異なる。この振動エネルギーの違いが化学同位体効果を起こす主たる原因であるとされてきたが、化学同位体効果の原因はこの質量効果だけではない。分子は分子軌道に応じたエネルギー準位を持っており、このエネルギー準位は同位体が異なることによって変動する。変動の因子は、原子核の質量、体積、核スピンである。軌道電子と原子核の相互作用により、原子核の情報が軌道電子に伝搬し、分子のエネルギー準位に同位体差が生じるのである。この中で、原子核の体積(大きさと形)が同位体交換反応に与える影響が「質量にかかわらない同位体効果」として着目されている。自然界に観測される同位体異常にこの効果が発現するかどうかについて議論したい。
著者関連情報
© 2009 日本地球化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top