抄録
日本海では、表層堆積物中にガスハイドレートが存在することが報告されており、新たなエネルギー源としても注目されているが、詳しい起源は明らかになっていない。ガスハイドレートが確認されている南海トラフにおける先行研究では、間隙水中のヨウ素が高濃度(最大60ppmであり、海水の約1000倍)で存在していることが知られており、メタンとヨウ素の起源には何らかの関係があると考える。またヨウ素以外の元素でも、例えばMnやBaなどの元素は間隙水の酸化還元状態を知る一つの指標になり、堆積環境を探る手がかりとなりうる。そこで本研究では、間隙水中に含まれるハロゲン元素(I, Br)及び金属元素(Li, Ca, Mn, Rb, Sr, Ba, U)の濃度を分析し、さらにはヨウ素の安定同位体である 127Iと放射性同位体である129Iの比を測定することにより、間隙水中のヨウ素とメタンの起源について考察する。