日本地球化学会年会要旨集
2010年度日本地球化学会第57回年会講演要旨集
セッションID: 1P34 12-P12
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水圏環境地球化学
バングラデシュ・ショナルガオの地下水涵養域におけるヒ素汚染地下水形成
*前田 俊介益田 晴恵
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抄録
地下水ヒ素汚染の発生メカニズムは,微生物活動による地下水の還元に伴う鉄酸化鉱物の分解とそれに吸着したヒ素の溶出だと信じられている.しかし,私たちは地下水涵養域における好気的地下水環境でもヒ素汚染地下水は形成されることを明らかにした.
本研究ではバングラデシュ,ショナルガオのヒ素汚染地下水出現地域で採水し,その水試料を分析した.
地下水中のヒ素濃度は,pHの値が中性よりも高くなると増加する.この結果は,pHが上昇したことによって堆積物に吸着されていたヒ素が地下水中に溶出した可能性を示唆する.アンモニウムの増加がpH上昇の原因だと推定される.地下水中のヒ素濃度は,酸化還元電位が低くなるほど高くなる.しかし,3価ヒ素と5価ヒ素の割合は酸化還元電位が下がってもほぼ一定であった.このことはヒ素の地下水中への溶出は地下水の還元反応に伴うものではないことを示している.
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© 2010 日本地球化学会
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