抄録
北西太平洋に存在する3つのプチスポット火山フィールドに産するアルカリ玄武岩の地球化学データセットの検討によって、マグマの主要元素・微量元素組成の特徴に地域性があることが判明した。これらのデータは、マグマの起源物質とそれらの溶融条件が、フィールド毎に異なることを示唆する。一方、フィールド内には、火山毎にわずかな組成の違いが認められ、それらは起源物質のわずかな組成の違いと部分溶融度の差によって説明できる。場所によっては、一つの火山で起源物質の特徴または部分溶融度が異なるマグマが共存する例も認められる。北西太平洋のプチスポットは、起源物質の性質とマグマ生成から噴火に至る過程が小さな火山毎に異なり、独自のマグマシステムを形成する、個性豊かなマグマ活動であることが明らかになった。