抄録
植物プランクトンは海洋中で生態ピラミッドの底辺に位置し、存在量が非常に多い。このため、植物プランクトン中の微量金属の濃度や植物プランクトンへのそれらの取り込みについて明らかにすることは、微量金属の生物濃縮や海洋におけるそれらの循環を理解する上で重要である。しかし、特に沿岸海域に生息する植物プランクトンは、粘土粒子等の微小な懸濁物(suspended solids: SS)によるコンタミネーションを受けやすく、分離が困難であるため、上記に関する知見は非常に少ない。そこで、本研究では、植物プランクトン自体に取り込まれたAlの量はSS中の量に比べて無視できることを仮定して、植物プランクトン自体に含まれる微量金属の濃度を推定する方法を検討した。