近年、南極のような低温・光制限のある極限環境下の地域において、脂質や色素といった特定の生物に起源を持つバイオマーカーや遺伝子解析によって、数千年スケールの古環境・古生態変動が復元されている。例えば、ハプト藻網イソクリシス目由来のアルケノン(C37-C39アルケノン)は、南極のAce湖やFryxell湖で検出され、その生産性や古環境の年代変化の解析に使われている。本研究では、南極スカルブスネス露岩地域における生物の生産性や生物群集,それらの環境変化への応答を明らかにするために、湖底堆積物のバイオマーカーの分析を行い、その年代変動を検討した。