抄録
多摩川では都市の過密化や近代化に伴い下水処理場排水や都市生活排水による河川水の水質汚染が示唆されている。またその水質や堆積物に関連した研究例もいくつか発表されている(欧陽, 1998; 山崎, 1999など)が、多摩川全域においての研究例は少ない。そこで本研究では、多摩川における水・堆積物中の各種元素の濃度分布・同位体比分析を行い、上流域と下流域データの比較検討と、各種元素の起源についての考察を行った。
その結果、下流に行くほど人為的汚染が進んでいることや、水質と堆積物に関して、上流域では花崗岩の影響が大きく、下流域の方では堆積岩の影響が大きいことが明らかになった。