抄録
玉川温泉(秋田県仙北市)では源泉の1つである大噴と呼ばれる湧出口からpH1.2の塩酸酸性泉が毎分約9000リットル湧出している.この大噴の湧出水の中には,インジウム(In),ガリウム(Ga),希土類元素(REE)などのレアメタル元素やヒ素(As),鉛(Pb)などの有害元素が含まれている.この酸性泉は中和処理された後,玉川の支流である渋黒川に排水される.本研究では,酸性河川中でのFe, As, Ga, In, Pbの拡散,分別挙動,およびダム湖(宝仙湖)への堆積挙動について検討した.元素のFe水酸化物への吸着傾向は各々で異なることから,河川上流ではAsが優先的に沈殿し,下流に向かうにつれGa, Inが沈殿し始める.そのため大噴の組成と比べると宝仙湖においてIn/As比の値が約4.5倍, Ga/As比の値は基盤岩からの供給も含まれ約30倍と,宝仙湖ではIn, GaがAsに比べ効率的に濃集していることを見出した.