抄録
本研究は、潮汐作用の影響を受ける茨城県久慈川河口域の溶存有機物を対象に、その挙動を最も複雑にすると考えられる物理的な寄与・除去効果を除いた擬似現場実験(閉鎖系ボトル内での時系列観測)の結果を現場観測結果へ適用することにより、その挙動を支配する変動因子を明らかにすることを目的とした。
擬似現場実験で得られたDOC濃度変化量に対する各効果は、独立栄養生物による生成・消費効果がΔDOC=-0.42ΔAOU+0.03(AOU:見かけの酸素消費量(飽和DO-現場DO))、従属栄養生物による炭素消費効果がバクテリア1個体当たり0.2pgC、光分解効果が-10-3mg/L (ΔDOC/ΣUVindex、UVindex:紫外線の強さを指標化したもの)であった。これらの値を現場に適用させた結果、独立栄養生物効果が最も寄与率が高いことがわかった。また、間接的に求めた物理効果、例えば河床再懸濁物質からの溶出による有機物の供給も主要な変動因子であると言える(寄与率:50%以上)。