抄録
本研究では、化学的溶食が地形形成に大きく寄与する石灰岩地域において、大陸からの長距離移流による酸性沈着が石灰岩の溶解に与える影響を明らかにすることを目的とした。清水洞上部の土壌二酸化炭素と平衡にあるCa2+濃度を計算し、実際の地下水のCa2+濃度と比較したところCaCO3の溶解に関して未飽和の水が清水洞に流入しており、石灰岩の溶解により鍾乳洞が拡大していることが示唆された。人為的に付加されたH+がCaCO3の溶解に与える影響のモデリングを行い、H+ の約70 %がCaCO3の溶解に消費されることがわかった。よって、清水洞流域における1年間のCaCO3の溶解量の1.1 %にあたる3.6 × 102 kg のCaCO3 が人為的に付加されたH+によって溶解したことになる。つまり、大陸からの長距離移流による酸性沈着によって石灰岩の溶食が加速されていることがわかった。