抄録
毒性が高く、土壌中で移動度が高い6価クロムの土壌吸着後の酸化還元反応をトレースすることは環境化学的に重要である。本研究では、土壌中に拡散した6価クロムの挙動を、鉛直方向および反応時間の2つの観点から明らかにするため、実際の土壌を用いたカラム実験を行った。土壌試料には、褐色森林土、および黒ボク土を用い、両土壌表層に6価クロムを通液し、通液直後と24時間後にCr K端 XANES測定を蛍光法にて行った。6価クロムに起因するpre-edge peakからCr(III)/Cr(VI)比を求めたところ、両土壌ともに24時間後にはCr(III)への還元が確認された。通液直後の測定でもCr(III)への還元が確認されたことから、土壌にCr(VI)が吸着された直後から、Cr(III)への還元が始まることがわかった。また、黒ボク土表層では特に強い還元作用が観測され、これは、黒ボク土に多く含有する有機酸によるものであると示唆される。