抄録
北大西洋アイルランド沖で掘削された第四紀(現在-110万年前)の堆積物コア中の水銀量と石灰質ナンノ化石群集の変動関係を検討した。バハマ沖と同様に北大西洋でもコア試料中の水銀量には、明確な気候変動が観測され、その変動にはミランコビッチ周期に対応している。このコア試料に含まれるナンノ化石の上部種/下部種の比は、過去50万年前を境にして急激な変化をしており、若い期間で上部種が卓越している。また、バハマ沖と同様に、上部化石種量と水銀量の変動関係には逆相関の関係が得られている。このような水銀量変動と、石灰質ナンノ化石の上部・下部種量と有機物量および窒素・炭素同位体比の変動関係に基づき、北大西洋アイルランド沖の水銀量変動のメカニズムと気候変動の関係等について発表する。