抄録
炭化水素ガスの中には,植物から放出されるイソプレンやモノテルペンからなるテルペン類も含まれる。植生からのテルペン類の放出は、その様子が目に見えないためイメージされにくいが,実は地球レベルでのその放出量は化石燃料の燃焼等の産業活動によって発生する人為起源の非メタン系炭化水素(AVOC)の排出量より多いと見積もられる.本講演では,植物によってイソプレンを放出するもの,モノテルペンを放出するもの,両方のガス種を放出しないものがあり,それぞれの放出特性を紹介すると共に,今後の地球環境の変化に対する植物のテルペン類放出応答に関するこれまでの研究である程度わかってきた知見について解説する.