抄録
オートラジオグラフィーにより、樹木、地表植物、及び土壌を対象として、放射性物質の局所的な分布を測定し、放射性降下物に含まれる放射性Csの降下後の挙動を検討した。その結果、以下のことが明らかになった。・樹木に降下した放射性Csは降下以前に存在した幹及び葉に濃集した。さらに、ごく一部の放射性Csが降下後に成長した枝及び葉の部分に分布した。・牧草、イネの切り株に降下した放射性Csは牧草及びイネにほとんどの部分が濃集し、土壌鉛直方向への移行は本方法による検出限界以下であった。・降下した放射性Csの植物への濃集は、降雪による降下が原因の一つと考えられる。したがって、地表植物及び樹木が降下した放射性Csのホストとなり、さらに土壌中への移行阻止に大きく寄与していると考えられる。