抄録
紀元前3世紀から紀元4世紀の日本産樹木年輪試料に記録された大気中炭素14濃度を加速器質量分析にて高精度で求めた結果、北半球の標準とされるIntCal09と比較して、低くなっている時期が多々あり、明らかに異なるものであった。その代り、南半球タスマニア島の樹木年輪に記録されたものと非常によい一致を示し、この時期の日本列島の大気中炭素14濃度が北半球の他の地域とは異なり、南半球と酷似していることがわかった。さらに、日本列島の異なる地域の樹木年輪の間でも僅かながら異なっていた可能性もあり、それらの要因を検討することで過去の大気中炭素14濃度の分布、さらには大気塊の動きについて考察する。