抄録
森林生態系における微小粒子(PM1)中の水溶性有機炭素(WSOC)について起源と生成の制御要因を明らかにすることを目的とし、夏季の落葉広葉樹林においてPM1の粒径分布とWSOC濃度のオンライン測定、及びフィルター捕集とオフラインでの有機化合物トレーサー分析を行った。WSOC日平均値は森林生態系の総一次生産(GPP)と正相関を示し、WSOC生成が、気温と日射に依存する森林植生の光合成活動と密接に関係している証拠を得た。またα-/β-ピネン及びイソプレン両方の酸化生成物の光化学エイジングが粒子成長とWSOC質量の増大に寄与していることが示唆された。さらにα-ピネンの酸化生成物(3-MBTCA)の質量濃度は、日中においてアレニウスプロットに類似した強い温度依存性を示した。3-MBTCAとピノン酸(PA)との濃度比は、有機化合物とOHラジカルとの反応による二次有機エアロゾル生成の良い指標となることが示された。