抄録
本研究では,異なる結晶構造,年代および生物種の天然サンゴ試料を用いて,サンゴ中のUの存在状態を同位体比とともに系統的に理解することで,海水中U-234/U-238比変動問題の解決の一助とすることを目的として研究を進めてきた。ICP-MSによるウランを含む元素濃度,α線スペクトロメトリーやMC-ICP-MSによる同位体比、蛍光分光XAFS法によるウラン存在状態分析の結果から,サンゴの種や年代により同位体比異常やUの価数の顕著な差は見られず,さらには続成作用での鉱物結晶変化によるU溶脱時も同位体フラクショネーションを起こしていないという結果が得られた.本研究により、U 同位体変動はサンゴによるフラクショネーションの結果ではないことが明らかになった.