抄録
SRM610ガラスを用い,LA-ICPMSによるジルコンU?Pb年代測定の分析条件の最適化を行った.その結果,レーザー密度:11.7 J/cm2,周波数:10 Hz,プレアブレーション時間:8秒,積分時間:10秒,クレーター径:25μmの最適分析条件を得た.同条件下において91500ジルコンで規格化したSRM610ガラスの206Pb/238U比(0.2236±0.0076,2σ;n=87)は,文献値と中央値で完全一致し,SRM610ガラスを標準試料として得られたPlesovice,OD?03ジルコンの238U-206Pb加重平均年代はそれぞれ,335.3±1.2 Ma,32.77±0.38 Maであり,文献値と±1%で一致した.この結果は,分析条件の最適化を行えば,物性の異なるSRM610ガラスとジルコン間でもマトリックス効果を分析精度以下に軽減できることを示唆する.