抄録
ICP-MSで129Iを測定する場合、Arガス中に含まれる129Xeよる高いバックグラウンドと、共存する127Iに起因した127IH2+の干渉、四重極質量分析計のアバンダンス感度の不足によるテーリングなどの問題があり、低い濃度レベルに対応した測定が困難であった。新しく開発されたトリプル四重極ICP-MS(ICP-QQQ)はMS/MS測定が可能で酸素リアクション法と併用することでこれらの課題を解決し、環境試料中微量レベル129I分析のための有効な手法になると考えられた。本研究では環境水溶液試料における微量129Iの分析に着目して基礎的な検討を行った結果、検出下限値は2桁改善され、NIST標準試料について得られた129I/127Iの比が認証値と良好な一致が得られた。