抄録
群馬県の草津白根火山の西麓側に位置する万座温泉において,7つの酸性源泉・湧水の希土類元素を分析した.コンドライト規格化希土類元素パターンで見た場合,噴気孔ガスと共に湧出する溶存成分濃度の高い高温源泉がほぼ水平のパターンを示し,この源泉がこの地域の熱水を代表する希土類元素組成を有するものと考えられる.その他の源泉・湧水は重希土類元素においてほぼ共通のパターン形状を有しながらも,重希土類元素と軽希土類元素との間が不連続で,軽希土類元素におけるパターン形状が試料ごとに大きく異なっていた.これは源泉・湧水ごとの個別の浅部熱水環境に依存した,軽希土類元素相互,および軽希土類元素と重希土類元素との分別作用があることを示唆している.おそらくは,万座温泉を特徴付ける,高濃度の硫酸イオンや硫化水素が関与した二次鉱物の生成と溶解が希土類元素の相互分別を生み出しているものと考えられる.