抄録
これまで高精度のウラン系列放射非平衡のデータが得られていない東北日本の火山岩に着目し、その238U-230Th放射非平衡を測定した。試料は島弧横断方向の4火山(岩手・秋田駒ケ岳・焼山・寒風)から採取した。前弧火山岩には238Uに富んだ238U-230Th放射非平衡(5-13%)が確認され、Uに富んだスラブ由来流体がマントルに付加していることが明らかになった。(238U/230Th)放射能比はスラブ面深度が増加するにつれて減少し、背弧では逆に230Thに富んだ238U-230Th放射非平衡(~5%)が見られた。背弧側マグマの成因については、極端にThに富むスラブ由来流体の付加や、地殻物質の混染など、複合的な要因を考える必要がある。