抄録
彗星は太陽系でもっとも始原的な天体の1つであり、多種多様な有機物を含んでいる。その中には生命誕生に必須とされるアミノ酸も含まれる。そのため、彗星が生命の誕生に必要な有機物の重要な供給源となった可能性が考えられている。しかしながら、地球衝突時の衝撃がこれらのアミノ酸をはじめとする有機物にどのような影響を及ぼすのかについてはほとんどわかっていない。そこで本研究では、彗星衝突を想定して、アミノ酸・ケイ酸塩・氷の混合物に低温環境 (77 K)で衝撃を与える実験を行った。衝撃を与えるアミノ酸として選んだのはグリシンとアラニンの2種である。与えた衝撃圧力は2.3-23.0 GPaである。その結果、アミノ酸は23. 0GPaにおいてもその多くが分解されずに残存すること、そして3量体までのペプチドが生成することがわかった。本結果は、化学進化における重要なステップの1つであるペプチド生成が彗星衝突により引き起こされた可能性を示唆している。