抄録
本発表では,始原的隕石中の有機物の水素・窒素同位体組成,そして有機物の形状について報告する.マーチソン隕石 (CM2)とNWA 801隕石 (CR2)マトリックスから,マトリックスの同位体比よりDまたは15Nに富む有機物を発見した. マーチソン隕石とNWA 801隕石におけるDに富む有機物と15Nに富む有機物の割合から,水質変質の進行によってマーチソン隕石では有機物のDの過剰が優先的に消失したことが考えられた.Dまたは15Nに富む有機物の形状は,複数の粒子の集合体 (アグリゲイト)または単独の粒子であり,マーチソン隕石とNWA 801隕石の有機物には, (アグリゲイト/単独の粒子)比に違いが見られた.形状からDに富む有機物と15Nに富む有機物を判別することは出来ず,隕石中の有機物がその形成時に同位体比が一定の値であったとすると,(アグリゲイト/単独の粒子)比の違いは,隕石母天体周囲の環境あるいは集積プロセスの違いを反映している可能性がある.