各種の粘土鉱物および福島試料中における放射性セシウムの化学形態をバッチ法、改良BCR逐次抽出法、EXAFS法を用い検討した。改良BCR逐次抽出法の結果は、放射性セシウムの約15%が溶存態として抽出され、65%以上が残渣に留まることが示唆された。炭酸塩画分の抽出割合は極僅かだが、有機物画分は8%以下の抽出が認められた。イライト+フミン酸+セシウム系におけるセシウムの吸着は、フミン酸によりイライトの層間が遮断されることにより制限される可能性が示唆された。EXAFSの結果、粘土鉱物中におけるセシウムの化学形態は、特にイライト+フミン酸+セシウム系において、フミン酸の存在により変化することが確かめられた。これらの知見は、粘土鉱物の層間における有機物による遮断の効果が土壌中におけるセシウムの移動性の増加に寄与している証拠を提供する。