抄録
熊本地域の地下水に含まれる合成甘味料(アセスルファム・スクラロース・サッカリン)を分析し、濃度値とその地理的分布を調べた。分析の結果、全ての甘味料が検出され、これらが熊本地域の地下水に広く分布することが明らかになった。地下水中のアセスルファム濃度は、河川水の影響が強い涵養域で高値を示し、湧出域である熊本市内において低下した。地下水流況に関する過去の知見とアセスルファム濃度との間に関連性があることが示され、合成甘味料が地下水の流動を把握する有用な化学トレーサーになり得る可能性が伺えた。一方、従来の地下水の流況情報では合理的な説明が難しい、高濃度の人工甘味料が検出された地点も複数確認された。これらの地点周辺では、下水管の老朽化による地下水への排水漏れの可能性が疑われ、合成甘味料が人為的な物質負荷の影響を評価する指標物質として有用である様子が示された。