抄録
初期地球における有機物の供給源の一つとして,地球外物質衝突による化学反応が提案されている.本研究では,衝突蒸気雲の水蒸気量が有機物前駆体となる還元的ガス生成に与える影響を検証する.ガスフローラインを製作し,高温(400-1000℃)で炭素,鉄,ニッケル,水蒸気,窒素を接触させ,急冷したガス試料を回収し,生成物を分析した.水素,一酸化炭素,二酸化炭素,メタン,シアン化水素の生成量は1000℃で行った実験で最も高い.1000℃において,CO/CO2比と水素生成量は低水蒸気量までは水蒸気量の増加とともに増加したが,それ以上の水蒸気量では逆に水蒸気量と共に減少した.一方,アンモニアの生成量は水蒸気量と共に顕著に増加した.このように,生成ガスの組成は水蒸気量に大きく影響されることが明らかになった.