抄録
2011年東北地方太平洋沖地震では三陸沖の広い範囲で海底土砂輸送が発生し,タービダイトが堆積した.最表層堆積物には福島第一原発起源の放射性セシウムが含まれているが,その一部では表層下数cmから,最表層よりも高いセシウムの放射能が検出された.これら亜表層の放射能の極大は,地震時の葉理を持つタービダイト砂の上位に堆積している,泥質タービダイトの中に含まれている.これは,地震後も泥質混濁流が継続し,その移動・沈降に伴って,原発から放出された放射性核種を迅速に沖合に運搬・埋積したものと考えられる.