抄録
本研究では、2009年の地球深部探査船「ちきゅう」の訓練期間中に房総半島沖で掘削された海洋堆積物コア試料(掘削深度230mbsf)について、全加水分解性アミノ酸および間隙水中溶存態アミノ酸に分け、D/L比と化合物レベル窒素同位体組成の深度分布を報告する。全加水分解性アミノ酸と比較して、間隙水中溶存態アミノ酸D/L比はアラニンでは一貫して高く、グルタミン酸では近い値を示した。アミノ酸窒素同位体組成に関しても、アラニンでは間隙水中溶存態アミノ酸が一貫して高い値を示し、グルタミン酸では全加水分解性と間隙水中溶存態のアミノ酸が近い値を示した。これらの結果を、他の化学成分(アンモニア、硫酸、メタンなど)の濃度分布や、アミノ酸窒素同位体組成に関する微生物培養実験の結果と合わせ、海洋堆積物深部におけるアミノ酸および有機物の動態に関して議論する。