抄録
中性から塩基性の天然水中での希土類元素(REEs)の存在形態について知見を得るために、標題の海成堆積岩層の間隙水を対象に、REEsの溶出挙動におけるREEsと腐植物質(HS)との相互作用について検討を行った。岩石粉末試料と、堆積岩層の間隙水の化学組成を模した弱塩基性水溶液とを反応温度50 °Cで1週間から56週間反応させた後、吸引濾過により液相と固相残渣とに分けた。得られた抽出液にキレート樹脂を添加し、REEsを無機態と有機態とに分別後、定量した。原岩規格化REEパターンは、無機態は滑らかな右上がりのパターンを、有機態は正のCe異常を有する特徴的なパターンを示した。また、抽出液のUV-visスペクトルから、反応時間の経過に伴い、HSの濃度の増加、ならびにフミン酸/フルボ酸比の変化が示唆された。