日本地球化学会年会要旨集
2012年度日本地球化学会第59回年会講演要旨集
セッションID: 1E02
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G7 地球表層水圏と生態系
東シベリアタイガ‐ツンドラ境界域における土壌のメタンフラックスと安定同位体比
*新宮原 諒杉本 敦子Trofim Maximov
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抄録

大気メタンの主な放出源の1つに自然の湿地がある。湿地が広く分布する北極圏では温暖化の気温上昇が顕著であるとされ、地温の上昇に伴いメタンの放出量が増大する可能性がある。一方融解深の増大やそれに伴う水分環境、植生の変化により放出量に更なる変化も起こりうる。本研究では連続的永久凍土帯に位置する東シベリアチョクルダ(70.62N, 147.90E)周辺のタイガ‐ツンドラ境界域において各植生帯のメタンフラックスをチャンバー法により観測した。またメタンの生成、酸化、輸送過程を反映するメタンの炭素・水素安定同位体比を分析した。観測されたフラックス(-0.38‐+7.4 mgC m-2 h-1)は植生タイプによって異なり、値の大きいwet areaでは地温が高いほどフラックスは増大した。表層水のメタン濃度とフラックスが対応しなかったことやδD‐δ13Cプロットからメタンは主に植物輸送で放出されたと考えられ、植生の重要性が示唆された。

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© 2012 日本地球化学会
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