抄録
森林の樹木から放出される揮発性の有機化合物(BVOC)は、その放出量の多さ、反応性の高さ、人為起源物質に対する相対的重要性から、近年急速に注目を集めている。一方、モデル推定では有機エアロゾルの生成量が不足していると示唆されている。この原因として考えられるものの一つに、未把握の反応性有機化合物の存在があげられる。本研究では、分析の困難性から、未だ研究例が少ない、炭素数15以上の高分子量BVOCに注目した。高分子量BVOCに適した分析法を用いて、国内における生育面積が第1位のスギおよび同第2位のヒノキから放出される高分子量BVOCを測定した。その結果、これまでガスとしての放出が確認されていなかった、炭素数20の不飽和炭化水素であるジテルペン類が、スギとヒノキの両方から大量に放出されていることを初めて確認した。講演では、ジテルペン類による大気環境への影響、特にエアロゾル生成について議論したいと考えている。