抄録
熱帯植物に由来する極性有機化合物(VOC)の特徴を把握するために、熱帯植物温室および熱帯林において熱帯植物から放出されるVOCの組成を調べた。その結果、炭素数6~10のアルデヒドが多くの熱帯植物から放出されていること、一部の植物はヘキセニルアセテートなどの高反応性の極性VOCを放出することなどが分かった。総計27種類の極性VOCの放出が認められたが、その放出量は植物の種類や環境によって大きなバラツキを示した。熱帯雨林温室内の大気中では一部の極性VOCのみが検出された。植物からの放出が確認されているにもかかわらず、温室内大気中で検出されないVOCについては、(1)特定植物のみから大量に放出されている、(2)バッグをかぶせた刺激によって一時的に放出量が増している、(3)反応性が高く短時間に消失してしまっているなどの可能性が考えられた。熱帯林の落葉からも様々な極性VOCが放出されており、熱帯林からのVOC放出量を考える上で無視できないことがわかった。