抄録
太古代岩石のHf同位体組成は,マントルの初期進化に制約を与えうる。我々は、約35億年前の低変成度のバーバートン玄武岩のHf同位体比測定を行っている。バーバートン地域ではコマチアイトの分析が既に行われているに対し, 本研究では、現世の玄武岩と類似した試料を分析している。その結果から、現在と太古代で似た性質を持つマントルの同位体組成の比較が可能となり、更に、コマチアイトの成因について新たな制約が与えられることが期待される。
これまでに、高MgO,高FeO含有量の試料に適した分解分離法を確立してきた。具体的には、従来のフッ化物沈殿を利用する方法を用いず、マトリックス元素をAG1-X8やLn-specでHfから分離することで, 90%のHf回収率を達成した。当日は、その方法及び結果を示し、太古代のマントル進化に対する制約やコマチアイトの同位体比との比較に関し議論する。