抄録
長崎県の小浜温泉では、温泉沈殿物として炭酸カルシウム鉱物が多量に沈殿することが知られている。本研究では、小浜歴史資料館敷地内に位置する湯本源泉の温泉沈殿物と温泉水の特徴を明らかにして、温泉沈殿物の生成機構に関して考察を行った。湯本源泉の温泉水の泉質は、ナトリウム-塩化物泉(温度100℃、pH7.9)で、その主要組成比は海水に類似している。地表付近のパイプの内壁には、比較的早い速度(1.1-1.2mm/日)で、不純物をほとんど含まない理想組成のあられ石のみが形成されていることが明らかになった。これは、深部から高温の海水の組成比と類似した温泉水が高速で自噴し、地表付近で急激に二酸化炭素の脱ガスが起こり炭酸カルシウムの生成速度が速くなったためと考えられる。