抄録
揮発性有機化合物(VOC)は微量ながら総じて大気中での反応性が高く、反応が進むことで二次有機エアロゾル(SOA)および雲凝結核(CCN)の形成に貢献する。海洋から放出されるVOCは年間5 Tg Cと見積もられており、全球の放出量と比べると2~3桁少ない。しかし、陸域からの寄与が少ない外洋では、現場で生成したVOCが洋上大気中のSOAやCCNの重要な前駆物質であると広く信じられている。VOCの生成・分布の将来予測をするために必須なプロセス研究を進めるためには時空間的に高い分解能での測定が有効であり、さらに複数種のVOCを同時に測定できることが理想的である。陽子移動反応質量分析計(PTR-MS)は気相中のVOCのリアルタイム計測が可能な技術であり、近年主に大気化学の分野で利用されている。本研究はPTR-MSの技術を海水中のVOC測定に適用し、従来法では得られなかった高分解能データをリアルタイムで取得したことが一番の特徴である。本講演では関係する研究成果の概要を紹介する。