抄録
太陽進化モデルを考慮すると、20億年前以前では太陽輝度が現在よりも低いため、大気中温室効果ガスが現在と同じ場合には地球が凍結してしまうと予測されるが、地質記録は38億年前から液体の海洋が存在していたことを示している。この暗い太陽を補償するものとして高い温室効果ガス濃度や低いアルベドなどが挙げられているが、地質記録に基づく推定値が少なく未だ決着がついていない。そこで私は、海洋底玄武岩の熱水変質作用および熱水性沈殿物である石英中の流体包有物から温室効果ガスとして有力な候補の一つであるCO2の濃度変動を明らかにしようと試みてきた。一方、初期地球の海洋底熱水変質作用は当時の海水や熱水の化学組成が現在のものと大きく異なっていたことを示している。したがって、生命の誕生と初期進化に重要な役割を担ったと考えられる初期地球の海底熱水組成を明らかにするために熱力学的、実験的研究を行ってきた。