抄録
北大西洋堆積物コアを用いて,ガウス-松山地磁気逆転境界を含む,250万年前から290万年前までの堆積物コア試料を50 cm間隔で分析し,前年度発表したこの海域の現在から100万年前までと氷床拡大縮小期の表層水塊構造の気候変動の比較研究を行っている。その結果,石灰質ナンノプランクトンの上部種とTOC量は,4万年の周期を示すが,両者は逆パターンの変動関係を示す。また,有機炭素同位体比の値は,TOC量と逆パターンを示し,-22‰から-25‰の間で変動している。これらの変動幅は,U1308とU1304から得られた100万年前から現在のまで期間の変動幅に較べて明らかに小さい。一方,ガウス-松山地磁気逆転境界付近では,変動幅は顕著に大きくなっている。これらの結果に, この境界付近の2 cm間隔での分析結果を合わせて報告する予定である。