抄録
SPring8/BL27SUの軟X線吸収分光によって得られたサンゴ、二枚貝、有孔虫などの方解石/アラレ石、ならびに無機炭酸塩(方解石、ドロマイト)のマグネシウムK吸収端X線吸収微細構造スペクトルを測定し、さらに分子軌道計算によって得られた炭酸塩鉱物のスペクトルとの比較を行った。生物起源方解石と無機方解石には各試料のマグネシウム濃度に起因すると考えられる相対ピーク高さのわずかな違いは認められるものの、ピーク位置には明瞭な差異は認められなかった。また、計算スペクトルも実験スペクトルを良く再現しており、方解石中のマグネシウムは主に結晶中のカルシウムを置換している可能性が高い。一方で生物起源アラレ石のホワイトラインは計算結果と同じ1312 eVであるものの、その他の明瞭な吸収ピークが認められなかった。これは生物起源アラレ石中のマグネシウムには、有機物やアモルファスなどとして取り込まれている成分の割合が高い可能性を示唆している。