抄録
近年の大気中二酸化炭素濃度の増加に伴う海洋酸性化は、海洋生物の炭酸塩の殻や骨格の形成を妨害し、今世紀半ばには海洋生物に対する影響が顕著になる可能性が高いと指摘されている。海洋酸性化に対する生物応答についての研究成果はこれまでに数多く報告されており、そのほとんどは海洋生物の炭酸カルシウム生成量が減少するという報告で占められていが、最近では、影響がない、むしろ生成量が増加するという報告もあり、海洋酸性化に対する生物応答の多様さが明らかになってきた。しかし、種間あるいは個体間で異なる応答を示す要因はよくわかっておらず、依然として海洋酸性化に対する海洋生物への影響評価は不十分である。本研究では、飼育実験により、酸性化海水に対して異なる石灰化応答を示した大型底生有孔虫の炭酸塩殻の炭素同位体比を測定し、種間で異なる応答を示した原因を明らかにすることを目的とした。