主催: 日本地球化学会年会要旨集
酵素がまだ存在しなかった初期地球では、簡単な物質が原始的な代謝すなわち酸化還元反応を担い、生命機能に類似した役割を果たしていたと考えられる。その一例として硫化鉄膜表面での自己触媒反応が挙げられる(Wachtershauser, 1988)。しかしこの仮説では自己複製が説明されない問題点も残る。プルシアンブルー(PB)は、水溶液中でコロイド状に分散し、広い表面積を有することで分子の吸着・化学反応の場を提供する。現在よりもFe2+が豊富に存在したであろう初期地球の海洋でPBは普遍的に生成したと考えられ(Orgel, 1974)、特にCold Origin of Life仮説(Bada et al. 1994)との繋がりが期待される。そこで本研究では、PBの代謝機能性を検証するため、室温水溶液中での有機分子との相互作用を調べた。