抄録
(独)産業技術総合研究所では、元素形態別地球化学図作成に向けて研究を進めている。信頼性の高い形態分析を行うために、逐次溶解法を用いた地球化学標準物質中の元素形態分析の結果について報告を行ってきた(久保田ほか,2010年度年会)。しかし、逐次溶解法は化学的手法に基づく破壊分析法であり、目的としている化学形態を正しく分析しているのか不明な点がある。そこで、逐次溶解法を用いて化学形態毎に抽出した試料についてX線吸収端構造(XANES)を測定し、目的としている抽出形態であるのか確かめることを試みている。2010年度には銅の存在形態について、逐次溶解法による形態分析が目的としている抽出形態を忠実に反映している事を報告した(太田ほか,2010年度年会)。本発表では、亜鉛の形態情報についてXANESスペクトルの解析を行った結果を報告する。