主催: 日本地球化学会年会要旨集
マントル物質の融点はマントル及びコアの温度構造に重要な制約を与える。本研究では、レーザー加熱式ダイアモンドアンビルセルを用いた高圧高温実験、及び放射光X線3Dトモグラフィー法を用いた実験回収試料中の急冷メルトの直接撮像により、マントル物質(パイロライト組成)のソリダス温度がコア-マントル境界圧力条件下で3570±200 Kであることを決定した。地震波観測から下部マントルは全球的に融けていないため、この温度は現在のコア-マントル境界温度に上限を与える。また、低いコア-マントル境界温度はマントル最下部でポストペロフスカイト相が安定であること、及び地球外核の融点を下げるために核の軽元素として水素が必要であることを示唆する。