抄録
枯渇油田はCO2回収・貯留(CCS)技術のサイトとして、CO2の貯留能力や安全性、コスト面など多方面からその実用性が検討されてきた。一方で、世界中の油田にはメタン生成を伴う原油分解を主な活動とする微生物生態系が広く分布しており、枯渇油田に残留する原油から生成するメタン(天然ガス)は新たな資源として注目されている。しかし、CO2地中貯留によるCO2濃度の増加が枯渇油田の微生物群集やメタン生成活動にどのような影響を及ぼすかは不明である。そこで今回、我々は深部地下油層環境を模擬する高温高圧培養実験を行い、油層環境のメタン生成に及ぼすCO2濃度の影響を調査した。