太古代岩石のHf同位体組成は地球史を通じたマントル進化に制約を与えうる。今回我々は、バーバートン地域の玄武岩Hf同位体比測定を行い、変成変質の影響評価をした上で、玄武岩試料で揃えたマントルのHf同位体進化の考察を行った。 当該地域二つの岩体から採取した28試料を分析した結果、εHf(3450Ma)はそれぞれ1.56±0.88, 3.00±0.95となった。これは, バーバートン玄武岩のソースマントルが35億年以前に既に部分溶融を経験し, 液相濃集元素に枯渇していたことを示す。また、他の太古代玄武岩の同位体組成と併せて, マントルHf同位体進化を推定すると, 初期マントルは約40億年前に分化し, Lu/Hf比が0.296になっていたと解釈できることが分かった。このLu/Hf比は, MORBソースマントルのLu/Hf範囲内におさまり,太古代初期のマントルは, 現在の上部マントルと同程度のLu/Hf分別を経験していた可能性が示唆された。