抄録
地層処分場の選定あるいは放射性元素の移動・遅延に直接影響を及ぼす可能性のある,地下環境中での鉄オキシハイドロキサイドについて取り上げ,最近の知見を含めた検討を行った.その結果,1)鉄オキシハイドロキサイドの形成は,岩体内に発達する水みちとなる割れ目ネットワークに基本的に規制されるとともに,岩体深部ほど鉄オキシハイドロキサイドの分布,幅は減少すること.2)岩体マトリクス中に形成された鉄オキシハイドロキサイドは,還元状態になった後も残存すること.3)また地質環境中の鉄オキシハイドロキサイドは放射性元素を吸着し,地下水シナリオにおける遅延効果に寄与する可能性が高いこと.4)地下環境で鉄オキシハイドロキサイドを確認した場合でも,それは‘現在’の地表からの酸化水の到達を必ずしも示しているのでなく,また鉄オキシハイドロキサイドによって岩体の有する還元機能が失われていることを示すものでもないことが分かった.