抄録
腐植物質(HS)は動植物の遺骸が分解縮合する過程で生成する天然有機物であり,様々な土壌・水系環境に一般的に含まれている.HSは,その炭素骨格上に,カルボキシル基などの多数の官能基を有しているため,有害金属イオンと錯生成し,その動態を大きく変化させうる.放射性廃棄物地層処分を始めとする今後の地下深部の大規模利用では,表層環境とは大きく異なる深部地下環境中での有害物質の動態理解に基づく,地下環境の汚染防止が求められる.しかし,表層由来のHSと比べ,深部地下水中のHSの質的・量的理解は不足している.本研究では,堆積岩系の地下水から抽出・精製されたHSに対する金属イオンの錯生成挙動を電位差滴定やレーザ蛍光分光測定,X線吸収分光(XAS)測定などを用いて評価した.