抄録
アジア大陸内陸部は、日射量変動に対して地球上で最も鋭敏に応答してきた地域であり、気候変動に対する陸域の応答メカニズムを解明する上で重要な場と見なされてきた。バイカル湖の湖底堆積層は、その歴史を克明に記録する媒体として、これまで様々なアプローチで古気候情報の抽出が行われている。このうち、酸化還元元素のひとつであるウランが集水域の乾燥湿潤指標となり得ることが、過去5500年の濃度変動記録と古気候指標の比較から示されている。本研究では、この結果にもとづき、最終氷期から完新世の堆積記録を有するバイカル湖湖底コアの還元固定元素(U, Mo, Cu, As, S)ならびに、古気温指標の生物起源シリカ(Sibio)の定量分析を行い、その時系列変化からバイカル湖周辺地域の古環境復元を行う。