抄録
沈み込み帯のU-Th放射壊変系列を理解するために、沈み込み帯の2相流数値計算モデルで予想される温度場、流体移動、マグマ生成の一連のプロセスにおいて、U(238U,234U)とTh(230Th,232Th)がどのように分別、輸送し、放射壊変をするのか、数値モデルを構築し、予測計算を行った。その結果、生成されたメルトではU-excessの放射平衡からのずれがみられ、これはスラブ流体がマントルウエッジと反応した結果であることが分かった。また、メルト中の230Th/232Thは、場所により不均質であることも分かった。これは流体の影響によりU/Thの変化したマントルが放射壊変することによって230Th/232Thに空間変化が現れるためである。そのため、U-Th放射平衡を考える上でウエッジ内での流体とマントルとの反応、それに伴う流体のU/Thの変化、ウエッジ内での同位体放射壊変が重要であることが示唆された。