抄録
初期地球の進化史において、海洋がいつ、どうやって形成されたかは地球惑星科学における第一級の問題として広く議論が交わされている。特に、地球における生命の起源、あるいは生命前駆物質(アミノ酸やタンパク質)の生成を考えたとき、地球表層に液体の水が存在することは必要不可欠である。この問題にアプローチするためには初期地球だけでなく、初期太陽系における水の生成や挙動、または地球型惑星における水の進化史などを包括的に理解する必要がある。そこで本講演では、特に水素の同位体比に注目して、(1)太陽系の始原的な水素同位体比、(2)火星表層水の進化史、(3)初期地球における水素同位体比について、我々のグループの最新の研究成果を交えてレビューを行う。