抄録
中国の北京や上海と同様に,モンゴルの首都であるウランバートル市は,エアロゾルを原因とする大気汚染が深刻である.エアロゾルは土壌や自動車など様々な起源から発生するが,その割合は地域や季節ごとに変化する.そのため,エアロゾルの起源を地域ごとにそして季節を通じて特定することは重要である.本研究では,UB市内においてサンプラーによりエアロゾルを回収し,それに含まれる化学種の定量分析を通じて,1)その化学的特徴を季節毎に見ること,また,2)その化学組成からエアロゾルの起源を推定することを目的とする.分析の結果,冬期の炭素濃度の上昇や土壌粒子の減少などの季節変化を確認できた.また,測定した16金属元素を因子分析すると,土壌粒子起源因子や人為起源因子を含む複数の因子で説明できることがわかった.